『サヨナラ』といわないで

最後の日

　長い寒い冬が終わり、春を迎えようとする今日３月１日。私は母さんのご飯を食べて着替えるために自分の部屋に戻る。今日は卒業式。私は高校の制服を手に持ってじっと見た。

この制服を着るのも今日で最後。学校が嫌でやめたいと思ったときもあった。だけど、今は心から感謝の気持ちでいっぱいだった。この学校の生徒で本当によかったと思う。私の周りにいてくれた友人、先生。本当にありがとう。私はそんな気持ちでいっぱいになりながらも制服を着た。

　駅でいつものように花穂を待つ。ここでこうやってキミと登校するのも最後だ。長いと思っていた学校生活もいよいよ終わりか。
「おはよう。しんみりしてるな」花穂は私の顔を見てそういった。表情に表れているみたいだ。私は少し微笑んだ。

「うん。こうやって登校するのも今日で最後だと思うと」
「ああ。なんか寂しいな」花穂もまた何かを感じていた。キミの隣で居られるのもあとわずか。その最後まで後悔しないように私はいるつもり。私たちは仲良く学校まで行った。