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桐島は本当に別人のように変わっていた。
ここにいるのは、僕の知っている桐島淳弥ではなかった。
僕は絶対に桐島の事を許さないし、きっと一生、桐島の幻影に苦しめられるだろう。
だけど、もう、過去の異物を溜め込んだツボの蓋を開けるのは嫌だった。
誤魔化すことができない感情は、ずっと側にいる。それでも、僕は今の生活に光を見いだしたかった。
先に進みたかった。
……もう桐島とは関わらないでおこう。
僕は、桐島との再会でうやむやになっていた決意を、改めて思い出していた。
山本恭子に想いを伝える決意を。
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