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緑の絨毯の上、木々に囲まれて、その葉っぱたちの合間から覗く果て無き青空の下、仰向けに横たわる久藤 智輝はゆっくりと目を覚ました。
しばらくボーとして、状況の理解に努める。
あれ、なんでこんなところに…
俺は、確か…
ああ、頭が痛い。
体を起こし、額に手のひらを当てる。
目線を変えた所で、その清々しい空気は変わらず、少し霞むまなこに映る色は、相変わらずの緑だった。
ほんとになんだ、なんでこんなところに?
あれ、声が…声が出ない。どうなってんだこれ
智輝は喉を押さえ、嗚咽を繰り返す。出そうとしても出やしない声。一瞬、声の出し方を忘れたかのように思えて、頭は混乱する一方だった。
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