ニートな魔王とツンデレ勇者

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「……ついに、ここまで来たな」  魔王城の最深部・威圧感を放つ大扉の前で、感慨にふける勇者。  聖なる鎧を身にまとい背中に剣を携え、その佇まいはとても爽やかで凛々しい。 「四天王をアッサリ撃破したし、魔王も余裕で倒せるんじゃねーの?」  大扉に彫られた2体の悪魔を見上げながら、軽い調子で言ってのける戦士。  大木を伐り倒すためにあるかのような大斧を肩に担ぎ、鍛え上げられた筋肉の力強さを、服の上からでも感じることができる。 「相手は魔王なんですから、油断は禁物ですよ?」  戦士の余裕の態度にそう注意しつつも、頼もしさを感じている魔法使い。  きらめく長い金の髪の上に魔女のような黒い三角帽子を被り、肩ぐらいの高さの杖には、青色の水晶が取り付けられている。 『魔王を倒せば、アタシ達の旅も終わり……。寂しくなるわ』  3人の他にもう一つ、巨大な影。それは蒼いドラゴン。翼も尾も4本の足も瞳も、全て美しい海や空の色をしていた。  優しく包むような声色と口調は、まるで大人のおねーさんだ。  彼らこそが、人類の希望である選ばれし勇者達。  世界征服をたくらむ魔王の野望を阻止するため、この魔王城までやってきた。  そして頑丈に閉じられた鉄製の大扉、その奥にいる魔王を倒せば、彼らの旅も終わりを迎える。
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