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看病なんて…ほとんどした事ねぇし!
参ったな…
莉亜の赤くなった頬に右手を添え、優しくヒタヒタと打ってみる。
『莉亜。起きれるか?』
………。
駄目か…。
取り敢えず身体を起こしてやったら目も覚めるかもしれないと思い、寝てる莉亜の首の後ろに左手を差し込み…ソッと持ち上げた。
うわ、あっつ。
つか首、細過ぎて恐ッ。
慌てて反対の腕で抱える様に身体を支えると、フニャフニャの莉亜は自然と俺の左胸に頭を持たせ掛けた。
…ハアァ…。
俺、また息止めてたな。
苦労した甲斐あって今、妙にしっくり来る安定した態勢だ。
『莉亜?起きてくれ』
何度か軽く揺すってみても瞳は閉ざされたまま。
駄目か…
『…………』
仕方ねぇ。
こうなったら…悪いが終わるまで目ぇ覚まさないでくれよ、莉亜。
盆に置いた薬を取り、自らの口にサッと流し入れ続けて白湯を含む。
莉亜の顎に手を添えて、クイッと上向かせると、少し開いたカサつく唇に自らの唇を合わせた。
なるべく隙間を無くす様に覆うと、ゆっくりと少しだけ莉亜の中に薬水を流し込む。
「…う…」
微かに漏れた籠る声にヒヤリとしたが…コクリと音がしたからそのまま、また少しまた少しと飲ませる。
自らの中の薬水を全て飲ませた後、ゆっくりと顔を離すと莉亜の顔が苦味でか、歪んでいるのに気付きフッと笑みが溢れた。
苦いよな…俺も苦ぇ。
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