サイアクな女

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“キレイなお姉さんは好きですか?” 一時期よく耳にしたCMのワンフレーズ。 確か、美容品のCMだったっけ? 商品よりもフレーズの方がやたらに印象的なCMだったな。 それで、もし好きか嫌いかを述べなくてはならないのなら、俺は迷わず嫌いと答える。 英司なら「大好きだ!!」と答えるだろうけど。 俺にとって、おキレイなお姉様の隣に並ぶということは、自分で自分の首を絞めるのと同等な行為。 自分の童顔が際立つから。 キレイなお姉さんは、俺のコンプレックスを助長させるから嫌い。 恵梨からの“一緒に歩くと恥ずかしい”発言は、俺にかなりの致命傷を与えてくれた。 心無い言葉のせいで、今まで培ってきた自信を消滅一歩手前まで追い詰められた俺は、以後自分と同様に幼く見える女を隣に置くようにしていた。 そうすることで、ギリギリの所で踏みとどまっている、ちっぽけな自信とプライドを守っていた。 自分を傷付ける要素は片っ端から削っていくに限る。 そんな俺だから、所謂“キレイなお姉さん”な彼女には全く興味がなかった。
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