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『なんだよ…それ。』
俺は弱っているのか。ダメだ。
『三神さん。私ずっとあなたに謝りたかったんです。この間はビンタしてすみませんでした!。』
鈴原が俺に大きく頭を下げる。
俺はブランコからゆっくりと立ち上がった。
俺は、その瞬間。
鈴原を抱きしめていた。
『え…三神さん。』
鈴原が驚きの声をあげた。
『お前が…お前が謝ることなんて何もないんだ。俺の方こそ…ごめん。』
俺は涙をこらえながらずっとずっと言いたかったことを言った。
やっぱりこいつには敵わない。
俺が普段出さないような喜怒哀楽をこいつは引き出すのだから。
俺達はしばらく黙ってブランコに乗っていた。
『それで…何があったんですか。三神さんがここまで落ち込むぐらいのことがあったんですよね。』
鈴原がしばらくしてからそう切り出した。
俺は今まであったことすべてを話した。
『それで、その弓弦さんと喧嘩して仲違いしたわけなんですね。』
鈴原はまた黙る。そして、俺をゆっくり見た。
『私達に何かできることがあればいいんですけどね。うーん。』
鈴原もやはりいい案は出ないみたいだ。
『なかなか出ないよな。俺も色々考えたけど何も出ないんだ。お前じゃ難しいよ。』
俺は苦笑交じりに言った。
その時、草むらからガサゴソと音が聞こえた。
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