4日目『正義の味方は密の味』

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昨日はヒドイ目にあったな。 なぜか綺麗に畳まれて落ちていたくたびれたスーツのフルセットをお借りしようかと迷ったが……流石にそれはやめておいた。 後から返せなんて持ち主の方に家まで来られたら困るしな。 いや、怖いとかじゃなくてマナーですからね。 この科学の時代に幽霊とかいるわけないし。 亡くなったおばあちゃんも落ちてる物を拾ってはいけませんって言ってたからね。 なんかさっきからバッグミラーに熱い視線を感じる気がするのだが、まぁアレだ。 気のせいだ。 後部座席には誰もいないし。 いるはずないし。 だって服持って帰って来てないし。 いや、だから怖いとかじゃないから。 気のせいだし。 バックミラーなんか気にするからいけないんだ。 …… 目が合っちゃったよ! うっかりバックミラー見たら眼鏡かけて頭ハゲ散らかったオッサンとバッチシ目が合っちゃったよ! めっちゃハゲ散らかってるよ! もうズルズルだよ! 全身にローション塗って滑り台駆け上がるぐらいズルズルだよ! いや、待て。 冷静になれ。 良い男はこんな時こそ冷静じゃなきゃダメだ。 後部座席にオッサンなんているはずないだろ。 バックミラーには眼鏡から上しか写ってないし、ただの眼鏡かけたズルズルのモノかもしれないだろ。 って俺そんな眼鏡かけたズルズルの未知の生物を後部座席に積み込んだ記憶ねぇよ!
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