家畜

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「ですから、指示が有り次第〇〇を切除してしまいます。雌には無いものですし、無くても生命維持は容易ですからね」  そう言って目を瞑り、マクシムは細く息を吐き出した。 「これ、小さな内にやった方が効果的ではあるんですよね。ですが、やらないよりは良いですから」  マクシムは、そこまで話したところで薄目を開けた。そして、軽く笑うとアランの目を見つめ、その考えを窺おうとする。すると、彼の考えを察したのか、アランは戸惑いながらも口を開いた。 「切除する理由は、何となく分かりました。ですが、想像するとどうしても……縮み上がると言うか何と言うか」  それを聞いたマクシムと言えば、微苦笑しながら言葉を発する。 「まあ、始めはそうですよね。でも、その内慣れますよ」  マクシムは、そう伝えると細く息を吐き、落ち着いた声で言葉を加える。 「それに、始めは補助に回って頂きますから。直ぐに手を下すよりは、気持ちの整理もつくでしょう。何分、簡単な処理とは言え、体に刃を入れる訳ですからね。長く生きていれば、経験上お分かりのこととは思いますが、切り口は真っ直ぐの方が治りやすいでしょう?」  そう問うと、マクシムは笑みを浮かべて首を傾げた。一方、アランは数拍の間を置いてから口を開いた。 「確かに、深い傷でも真っ直ぐだと治りやすいですよね……逆に、傷が浅くても擦り傷だと中々治らなかったり」  それを聞いたマクシムは頷き、目を細めて話を始める。 「ええ。そして、それはどの場所でもそうでしょう? ですから、刃を入れるのに躊躇いが有る内は、なるべく補助に回って頂きたいのですよ。下手な切開のせいで、傷が治らないのは面倒ですから」  そう言って微笑し、マクシムは聞き手の目を見つめた。対するアランはゆっくりと頷き、それからマクシムの目を見つめ返す。
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