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「んじゃあ戻るわ。」
俺は弁当箱を鞄にしまい立ち上がった。
春海はおにぎりを口にくわえながら返事をし、またパソコンに向き合っている。
これでスポーツ全国一位ってのが不思議でならねぇ…。
頭は馬鹿だがな。
Sクラスにいるのが有り得ねぇくらいに悪い。
テスト前の一週間、俺とハナが一日中春海の部屋に籠もって一から教えている。
面倒くせぇが、日頃ハナの事で役に立ってるからそのお礼だ。
春海の部屋を出て、学園の校舎の端にある中庭に向かう。
ここは基本、生徒は立ち入り禁止だ。
生徒会や風紀も含めてだ。
学園長が個人的な趣味で造らせた中庭らしいが基本鍵がかかっていて入れない。
なのに何故か、ハナはその中庭の鍵を持っていた…。
本人に聞いても『もらった』しか答えねぇし、春海でも分からないらしい。
学園長と接触したのか…?だか、ハナと学園長が知り合いなんて今まで聞いた事がない。
中学に上がったばかりの頃からハナは中庭に通っていた。
俺はハナから借りた鍵を差込み扉を開け中に入る。
花や木などの植物が沢山植えられている。
よく手入れされていると思う。
俺は中庭の中心にあるベンチに座り、持っていた袋の中を探る。
そして一緒に持ってきた皿にソレを乗せ、地面に置いた。
ハナが学校に来れない時は大抵俺がアレらの餌をあげている。…いや、あげさせられているだ。
そいつらは俺がこの中庭を出るまで姿を表さない。
ー…猫だ。
ハナ曰く、4匹いるらしい。
どうも警戒心が強いらしいく俺の前に姿を現した事がない。
一度も見たことがない猫の為にこんな所まで来てると思うと殺意しか湧かねぇな。
まぁ、動物はあまり好じゃねぇし正直どうでもいい。
俺は立ち上がり中庭を出て教室に戻った。
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