花の浮き橋

2/9
200人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
灰色の雲の下、白い息を吐き、泣きじゃくりながら歩道橋の階段を歩く栗色の髪の少女。 白いコートにピンクのマフラーを巻いた少女、柊六花(ひいらぎりっか)は悲しみで胸が張り裂けそうだった。 六花は高1の春から付き合ってきた西田誠(にしだまこと)に先程電話でフラれたのだ。 しかもクリスマス前の12月18日。 二年目になる今年は高校最後のクリスマスだから、素敵な日にしようと思ったのに。 誠が新しい彼女と過ごすクリスマスなんてこの世から消えてなくなれ! 泣きながらも心の中で恨みごとを言う六花は階段を上がった先にいた者を見て、涙が一気に止まる。 歩道橋の手すりに腰掛け、下の道路に行き交う自動車を虚ろな青い目で見つめる金髪の少年。 少年は六花が来たことに気づいていないようだ。 六花は辺りを見回した。 この辺は人通りが少なく、特にこの歩道橋はなかなか使われない。 人目を避けて泣くためにこの歩道橋に上がったのに、思わぬ先客がいたことは不服だったが、そんなことよりこの状況を変える方が先決だと思った。 六花が恐る恐る少年に近づくと、少年は振り向いた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!