憂鬱な遺伝子

プロローグ

　中世では“魔女狩り”なんて事も行われたらしい。

歴史の教科書に載ってたっけ。

　そんな“魔女“の因子が遺伝子上にあるらしいという事が分かったのは、つい１０年位前。

はっきりと分かったのは去年――今ではその遺伝子の保存を行うために魔女因子を持った人間に自由は、無い。

　職業は自動的に国家公務員。

業務内容は能力によって異なるらしいが、詳しくは知らない。

それもこれも遺伝子単位で一元管理をしている国家システムの副産物であるが、まさか自分が檻の中に入れられた自由の無い動物の気分を味わうことになろうとは、想像もしていなかった。