scene002

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神田くんはポケットから何かを出して、どーぞっ。とボクに差し出して来た。何だろうと思いよく見れば、それは棒付きの飴だった。味は苺らしい。 「ありがとうございます」 笑顔で受け取ると神田くんは、ふにゃっと笑い、いーえ。と返した。 か、可愛いぞ!!どーすんだ!!これ!?総受けか!?脇役主人公か!御馳走様です。 「あ!!ずるいっ僕も!」 若干ボクも巻き込みながら神田くんに詰め寄り、飴を貰う。お陰で現実に帰ってこれた。ただいま。 しかし、神田くんはどれだけ飴を常備しているのだろうか、謎だ。 貰った飴をポケットに入れる。隣の少し下の方から桃の甘ったるい香りが漂ってきた。朝日奈くんの飴は桃味らしい。嬉しそうに口に含む姿に頬が緩みそうになる。 長いそれは長い渡り廊下を抜け、一般校舎に入ると、授業を行っている教師の声や、黒板を書くチョークの独特な音などが小さく聞こえてくる。 ごくたまに、それらに混じって、キャー。という、女の子のような歓声に似た声が聞こえるのはこの学園の特徴だろう。
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