ロラン・ド・アーツ

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ベルシェの闇のように深い眼差しが本気かと問いかけてくる。俺は答えるまでもなく、見据える。呆れたように彼女は溜息を吐き、長く蒼い髪を結ぶゴムを解いた。 「街中で手練れ三人を殺し、逃亡を果たした奴らだがこちらから出せる人員はいないぞ」 「構わない。俺とルーシェで十分だろう」 だが手練れ三人を易々と殺し、ハルを連れ去った奴だ。相当のやり手であることは間違いない。けれども俺とルーシェが組めば誰にも負ける気などなかった。 「それで敵の人数、特徴は?」 「一人だ。白銀色の髪に黄金色の瞳といった些か人間離れした男だ。歳はお前に近いな。あと、何でも黄金色の剣を持っていたそうだ。本当に良く……この情報を伝えてくれたよ、アイツは」 瀕死の重傷を負ってもなお、ヴェイルームに敵の情報を伝えた隊員に黙とうを捧げるベルシェを余所に、嫌な予感が胸を過る。 黄金色の剣か……彼の者の剣と同じ色をした剣を持つ敵。 「時間が惜しい。さっさと魔具を渡せ」 「ああ」 「で、ルーシェ。今の話、聞いていたな?」 俺の問いかけに答えるように、扉を開け、不敵な笑みを浮かべたルーシェが入ってきた。装備は十分のようだ。こうなることを予想していたのだろう。 俺が遠距離タイプなら彼女は近距離タイプだ。身の丈を超える巨大な大剣を楽々と背負い、各所に薄い防具を装備したルーシェは腕を組み、さあ行くぞという。 「ああ、それとお前も顔を隠せ」 「ん? 何故だ?」 「普段表立たない故に顔を隠す必要はなかったが、今回は違うだろ」 隠せるものなら隠した方が良い。身元を知られても彼女の家柄なら問題ないが、学院に迷惑をかける可能性がある。 「まあお前がそういうならつけよう。では行こう。貴様の親友の女が待っている」 「ああ」
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