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「どうかしましたか?」
鏡に映る自分とにらめっこをしていたら、電話が終わったらしい長谷部が話しかけてきた。
いつのまに!?
つうか、全然気づかなかったし。
なぜかやたらと至近距離に立たれていて、気後れする。
あいまいな笑みを浮かべつつ、1歩横へずれた。
イケメン野郎は近づくなぁ!
完全な八つ当たりをしつつ、またもやため息。
なんかこう、俺にも取り柄ってものが欲しい。
「元気ありませんね。ケンカでもしたんですか? ……恋人と」
俺が横へずれたのと同じ分だけ、長谷部も動いていた。
男同士会話をするのに、どうしてこんなに顔が近いのか。
「いいえ。ケンカなんてしてません」
先輩とは仲良くやっている。
これは俺の、ただの僻みだ。
「長谷部さんは……、自信を失うことってないですか?」
なさそうだよな。
自分で聞いておきながら、聞かなければよかったと後悔した。
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