27 ピンチとチャンス

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「どうかしましたか?」 鏡に映る自分とにらめっこをしていたら、電話が終わったらしい長谷部が話しかけてきた。 いつのまに!? つうか、全然気づかなかったし。 なぜかやたらと至近距離に立たれていて、気後れする。 あいまいな笑みを浮かべつつ、1歩横へずれた。 イケメン野郎は近づくなぁ! 完全な八つ当たりをしつつ、またもやため息。 なんかこう、俺にも取り柄ってものが欲しい。 「元気ありませんね。ケンカでもしたんですか? ……恋人と」 俺が横へずれたのと同じ分だけ、長谷部も動いていた。 男同士会話をするのに、どうしてこんなに顔が近いのか。 「いいえ。ケンカなんてしてません」 先輩とは仲良くやっている。 これは俺の、ただの僻みだ。 「長谷部さんは……、自信を失うことってないですか?」 なさそうだよな。 自分で聞いておきながら、聞かなければよかったと後悔した。
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