825人が本棚に入れています
本棚に追加
/694ページ
「あの、ショーンにこれ渡したくて…」
「どなたですって?」
黒縁メガネの奥がキッ、と光った。
…うっ、やりづらい…。
ただ聞いてみただけなのに、怒られてる気がする……大人でも時々いるんだよね、こんな人。
(負けるな私)
「あの、こちらに金髪で背の高い清掃のバイトの方いますよね。その人の上着預かってて…」
舞愛はショーンの頭のあたり(目測)まで手をかざして説明した。
一瞬、『なんなのよキー!!』って掴みかかられたらどうしよう…という軽いトラウマがぶり返す。
「ああ岩垣さんね。横谷さん」
黒縁メガネ女史が少し声のトーンを柔らかめにすると、
たまたま用があったらしく事務室を訪れた警備員のオジサン(たぶん顔馴染み)に声を掛けた。
(い、いわがきサンて…誰っ?)
(ショーン…偽名?!)
何だって次から次へと怪しげなボロが出るんだあの人は。
最初のコメントを投稿しよう!