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「…コハル。落ち着いて。
多分あんたの妄想、間違ってるから」
がるるると唸りながら、中田を睨んでいるあたしの肩に手を置いて、真知ちゃんが首を横に振る。
そして、彼女は邪魔くさそうにあたしを押し退け、中田に愛想よく微笑みかけた。
「ごめんなさい。中田先輩。
この子昨日小野先輩とちょっと喧嘩しちゃって。
顔合わせにくいみたいなんです。
だから一緒に家までは行けないんですけど、小野先輩が怒ってないかすごく気にしてるみたいで。
…………お見舞いついでで構いませんから、それとなく小野先輩の様子を窺って頂くことできませんか?」
真知ちゃんのキラキラビームをくらった中田は顔を真っ赤にして、こくこくうなずいた。
「も、もちろんだよ!」
安請け合いする中田に不安がつのる。
大体において、この豆しば犬のような男は、機転がきかない。
一言余計なことを言うのが常なのだ。
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