冬桜《パソコンver》

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 今のが気持ち良かったと言ってくれた副店長に僕は少し顔を緩めた。副店長も優しい表情をしてる。 「少しずつ、上手になればいいんだから。初めからパーフェクトな人間なんていないでしょ?」  上手になればいいって、それってまた抱いていいってコト?、と僕は副店長の表情をうかがった。 「……また、抱いてくれる?。私の体で覚えて、ね?」  副店長はそう言った。僕は嬉しくて舞い上がって、はいっ!と返事したけれど、声が上擦って掠れて、副店長にクスクスと笑われた。  翌日、引き継ぎの時、副店長はレジの鍵と一緒にもうひとつの鍵をくれた。何のコトかさっぱり分からず副店長の顔を見ると、副店長が微笑んだ。瞬時に僕は彼女の部屋の合い鍵だとひらめいて、嬉しくて飛び上がるような気持ちを押さえてポケットにしまった。  それから、僕はバイトが終わると副店長の自宅に行った。まだ春休み中だったし、副店長のことが欲しくて、顔が見たくて、少しでも一緒にいたくて、僕は週に何度も副店長のアパートに行った。閉店後に店からすぐに彼女の部屋に行き、合い鍵で入る。靴を脱いで中に入り、ベッドで寝ている副店長にそっとキスをして起こす。そっと目を開けた彼女は僕に気付くと微笑んで「お疲れさま。店、大丈夫だった?」と言いながらベッドを下りる。僕は服を脱いでベッドに腰掛ける。彼女は髪を耳に掛けながら僕を含んで受け止めてくれる。ベッドに僕が横になり、彼女が跨ぐとゆっくりと揺れて、僕は彼女の体をさすりながら彼女の顔を見上げる。焦らされてせがむように見上げると彼女が降りて僕が上になる。  でも彼女が絶頂を迎える前に僕は我慢出来なくてすぐに果ててしまって、毎回、「すいませんっ!」と真っ赤になって謝った。副店長はその度に覆いかぶさった僕を「可愛い」と抱きしめてくれた。僕は副店長をイかせてあげたい。男として見てもらいたい。そして、僕の手の中で狂うような彼女を見てみたいと思った。 .
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