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日中の太陽は、今の大介には眩し過ぎる。
自分の感情がコントロールできなくなって、学校に行く気にならず、物に当たって部屋の中をメチャクチャにしてしまった。
どう考えても自分を正当化できる言葉も思い浮かばない大介は、ただ逃げ出す為に家を出て来たにすぎない。
学校に行かなくてはいけないのだが、大介はバス停とは反対の道を歩いている。
自暴自棄で破裂しそうな心を抱えながら、何処に行く当てもなく、ふらふらと歩いていると、気が付けば自宅近くの河原に来ていた。
土手から眺める川面は朝陽に照らされてキラキラと光っている。
本来なら心安らぐはずのそんな長閑な風景も、大介の頑なな心を和らげてはくれない。
キラキラと揺れる光は、逆に大介を不安な気持ちに追い込ませる。
大介は頭を抱えていた。
「現実逃避する場所が河原じゃあ、面白くもないだろう」
気が付くと、いつの間にか男が後ろに立っている。
年の頃は二十代前半か?
大介には見覚えのない顔だった。
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