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「アハ……アハハハ……」
そして次の瞬間、彼女は顔を上げて狂ったように笑い出す。
「アハ! アハハハハ! アハハハハハッ!」
その豹変振りに、七色は顔を引き釣らせずにはいられなかった。
そしてそんな七色に反し、黒指姫はどこか呆れたように呟く。
「あーあ、スイッチ入っちまった」
黒指姫の視線の先で、ふらつきながらも踵を返してドアへ向かう白頭巾。
そんな白頭巾の背に、clearは激励を浴びせた。
「頑張って負けてきてね、白頭巾。期待してるから」
しかしその言葉も聞こえていないかのように、白頭巾はただ無反応で歩を進める。
そして白頭巾は皆に背を向けたまま、そっと銀の仮面を外した。
「白木 鷲座……。お前だけは……必ず……」
呟いて、白頭巾はそっとドアを潜る。
灰と鷲座の元に迫る、大鎌を構えた死神――。
犯罪組織ベルセルクの刺客、白頭巾は、一人邪悪な笑みを浮かべるのだった……。
【第一章 コップの水は溢れない】
完
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