8529人が本棚に入れています
本棚に追加
/548ページ
祖母は、話し終わると、重い荷物を下ろしたように深く長く息を吐いた。きっと長い間苦しんできたのだろう。
しかし、祖母に悪意があった訳ではないし、祖父と祖母の結婚によって、二人の人生が狂ったわけでもない。
二人は、真っ当な人生を歩んだに違いなかった。
そして、二人の人生は鈴音にとって誇りあるもののように思えた。
「ありがとうございました。私、本当に生まれ変われたような気がします。お祖母さんのおかげです」
鈴音はそう言うと頭を深く下げた。
「まあまあ、そんなにかしこまらないで」
祖母はそう言うと、満面の笑みを浮かべた。
.
最初のコメントを投稿しよう!