第1章

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終わりのハジマリ 1 ひどく冷え込む朝だった。 ほんのひと月前の暑さを思い出すのが困難なほどだ。 ミサはカフェオレを入れたカップを持ったまま、リビングのレースのカーテンを開いた。 午前六時、マンションの7階のベランダには陽が薄く射し込んでいる。 キッチンに置いてあった携帯電話が鳴った。 着信は妹のユキからだった。 「おはよう、ユキちゃん。ちゃんと起きられたのね。ちょっと寒いけど晴れてきそうだし、楽しい遠足になりそうね」 ミサはそう言ってふと窓に顔を向けた。 ベランダの柵越しに何か黒い物が落下していった。 ほんの一瞬の出来事だった。 ミサがベランダに出るよりも先に悲鳴が聞こえた。 数分後、救急車とパトカーのサイレンが近付き、マンション周辺は騒然としていた。 屋上から飛び降りたのは、マンションの八階に住む16歳の少女だった。 byジャニス 終わりのハジマリ 2 凶悪な国家テロ集団の聖ピアス教団を、自衛隊の総攻撃によって殲滅してから、しばらく時が経過していた。 結局、救出出来たのは純子一人だった。 純子の恋人の隆志は抵抗したため、ミッソー中佐が純子の目の前で射殺した。 その後ミッソー中佐は、北朝鮮へ潜入した。 拉致被害者の救出命令を実行するためだった。 ミッソー中佐は工藤防衛大臣に呼ばれて大臣室にいた。 「ミッソー中佐、ご苦労だったな」 「はい。拉致被害者の救出が出来なかった事は残念でしかたありません」 11f73896-0489-4596-9597-b0bf2ec89d73
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