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逃亡の最中、協会に保護の電話がかかるも、罠と判断した。
結果、遺体で発見される。
「まぁ、内容は聞いた通りだな──ん?」
誕生日の日付を見て、涼都は思わず眉を寄せた。
11月24日だ。
(誕生日に、外狩りで追い回されるとは)
誕生日に天城所有の山に放り出されて、召喚された魔物の群れとバトルさせられたことのある涼都としては、とても他人事とは思えない。
(思い出したら、テンション下がってきた)
ため息をつきながら、ページをめくって。
涼都は思わず、動きを止めた。
「……現場の写真か」
狭い、ビルとビルの隙間のような路地で、少年が壁に寄りかかって力無く四肢を投げ出し、座っている。
どこも傷だらけではあるが、胸部と腹部の傷が深く、血がシャツにこびりついていた。
大量の出血があったと思われるが、大雨であらかたの血は流されてしまったらしい。
涼都は軽い頭痛にこめかみを押さえながら、写真を見て、首を傾げた。
「おかしいな」
普通、壁に寄りかかって座る遺体なら頭は項垂れるように真下を向いて下がるものだが。
この少年は壁に頭を預けて、顔が上がったまま、斜め前に向いている。
まるで。
最後まで、何かを見ていたような。
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