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ここは日本のとある街。
その街にある一つのビルの屋上。
そこにその人物は立っていた。
近年、都市開発により都市の一つとして数えられるようになったこの街。
その人物のいるビルの辺りにはビルや飲食店が建ち並んでいた。
それらの建物に囲まれたスクランブル交差点をその人物は見つめていた。
この屋上の高さからだと、人が豆粒よりも小さく見える。
登校中の学生たち、出社する会社員、ティッシュ配りのバイト等、様々な人間がいるはずだが、どの人間がどの役割を担っているのかはこの高さからでは判別がつかない。
その人物はただただ人々を見下ろしていた。
その目に感情はない。
まるでそんなものは過去のどこかに置いてきてしまったとでもいうように。
朝日に射たれながら、見下ろしていた。
これから滅びる人類の最後の姿を。
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