エピローグ

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 この青年のタガはとっくの前に外れている事を思い出した。     冥夢の幻域の地下深くで、とっくの昔に彼の精神は擦り切れている。  残った理性がかろうじで、パリキスの遺体を護ることだけに執着している状況だ。 「とにかく、私がサランディード殿下の動向を把握するまで貴様は動くな。メルテシオンに連れ帰ってくれている可能性が一番高い。此処よりは守りが硬いからな」  その発言にだんだんとガルンの目つきが険しくなっていく。  まるで、いきなり汚物でも見たかのような表情だ。 「メルテシオンが安全だと? あの狂った多狂信国家が? 奴らはパリキスを神を降ろ器としか見ていない。どうせ、今でもパリキスの身体を使って何かを企てている塵芥が腐るほど集まっているだけだ。あんな国にパリキスを置いておくきはない」  その瞳にはゆるぎない憎悪が張り付いている。  自分の師を殺し、姉弟子を苦しめてきたのを容認する国だ。  メルテシオンにはパリキスと出会えた事以外にはろくな思い出が残っていない。      
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