「俺の」物語は始まる。

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BL小説に転生した。 しかもオメガバースの中世ヨーロッパ雰囲気の王族ものに、だ。 ちなみに俺の配役は偽物の王子で「悪役」で、主人公は「本物の王子様」っていうよくある設定。 まぁ、運よく(?)その記憶を取り戻したのが断罪寸前とかではなく、物語がスタートする5年前の11歳だったのは幸いだった。 ちなみに前世の俺は25歳だった、というところで記憶は途切れている。多分死んだんだろう。でなければ転生なんかしない。 とはいえ俺の認識は大学卒業後に地元の役所の福祉課で働いていた社会人。自分の名前も親兄弟の顔も憶えていたし自分が何を好きで何が嫌いだったとかも覚えている。 スマホがあって世界中の誰とでも繋がれる環境であったし、戦争は遠い国の愚かなことであり平和とは何かを学ばされる民主主義の観念を持っている一般市民。 それが突然異世界の少年、しかも王子になっていたんだからパニックどころではなかった。ついうっかり日本語で喋ったりしたのも余計に悪かった。 あまりにも訳の分からないことを言い出す俺に使用人も臣下も困惑し、医者に診せられたが当然健康体なわけで、精神に異常が?ってことで一時入院からの修道院コースになりかけた。 なりかけた、が、回避した。いやなに断罪される前にすっ飛ばしで修道院コース(バッドエンド)とか愚かか自分!ってなるでしょ。 ハッとそのことに気が付いたからには平身低頭でしおらしく「気が動転してました。」とか「もう大丈夫です。」を『異世界の言葉』で繰り返しどうにかこうにか王子の座にしがみついた。 まぁ、ちょおっと入院(王族だから治療院に入るのではなく離宮に3ヶ月くらい閉じ込められた)はしたけど、その期間じっくり前世の自分と今世の王子として生きてきた記憶を思い出すことに集中できたのでよかった。 、
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