遠野視点

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遠野視点

―――セミが鳴いている。 ―――しぇんぱぃ…。 「ここ」 野獣邸は白くて巨大。本当に金持ちなんだなぁ。少し羨ましい。 ドアを開けてもらい中に入る。広々としている。 「昨日練習きつかったね」 「はい」 「そうだ!うちさぁ屋上あんだけどオイル塗ってかない?」 「いいっすね」 ―――再びあの鳴き声。どの種類なのか。多分ミンミンゼミ。もしほかのを当てろと言われたら答える自信は無い。 仰向きになる。野獣先輩がオイルを塗ってくれた。ありがたい。目をつぶる。 「ここがセクシーエロいっ」 えっ?野獣先輩どうしてそんなことを言うのだろう。 ―――ミーンミンミンミン。 「アイスティーしか無かったんだけどいいかな」 遠野はそれを受けとる。コップを傾け喉に流し込む。胃がヒンヤリとする。 再び日光浴を始めた。 ―――野獣の眼光。 遠野はそれに気づくことが出来なかった。 「お前のことが好きだったんだよ」 唐突なキス。しかしなぜだか拒むことが出来なかった。 ―――ミーンミンミンミン。
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