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博文は現場用の作業服に着替えた。 そして俺は機械でフィルムの成分を確認した。 「…まいったな…。」 「どうしたの?」 「このフィルムの金属成分ですけど。」 俺は金属成分を示したプリント一枚 小嶋さんに渡した。 「記事の下から2番目と3番目の金属はここでは 扱ってない金属ですよ。」 「…そうね、希少金属ね。」 「…これがないとフィルムの複製は出来ない。」 「なあ、そのフィルムは本当に電磁波を 遮断できるのか?」 博文は少し不安そうに話しかけてきた。 「…完全な保証は無いけど、 とりあえず電磁波をシャットアウトできるようだ。 ただ、必要なほかの電磁波もカットしている気が… でも今の街中や、博文を襲った問題を考えると こうするしかない。」 「そうなんだ、でも金属が…。」 「金属は…大丈夫よ!」 小嶋さんははっきりと言った。 「どうしましたか!?」 「…この金属は私の取引の先で扱っているわ。 多分そんなに必要ないから、協力してもらいましょう。」 「…そうですか!じゃあ、早速!」 「でも、問題は…この会社が結構距離があることよ。 あの本来は車で国道一本だけど、 今はそんな状態じゃないわよね。」 「…フィルムは無理か…。」 俺は少し考えた。 「なあ、それならもっと大々的にやらないか?」 「大々的に?」 「ああ。」 博文は両手を広げた。 「デモは俺も見たし、あんな先輩みたいな人が 出てくるとなると嫌だ。 フィルムは後半考えればいい! とりあえず、混乱している人たちをみんな止める。 そうしたら!?」 「…でもどうやって!?」 「妨害電波だよ! その気になれば50Mくらいは飛ばせるはずだ!」
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