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「ん~……。
完全に迷ってしまった……」
あたし、宮本 遥(みやもと はるか)。
至ってフツーの高校二年生。
色々事情があってここ『逆波学園(さかなみがくえん)』に転入してきた。
全寮生の学園で文武両道の由緒正しい学園らしい。
……だけど、逆波学園はマンモス校であまりにも敷地が広すぎて散策していたら完全に迷子になってしまった。
明日から通う予定だったからまだ誰もお友達がいない状態で……。
参ったわ……。
「……気味が悪いわね」
あたしは辺りを見渡してハッとした。
本館から離れた奇妙な場所に出てきていた。
木造の校舎がたたずみ、異様な雰囲気をだしている。
「カァーカァー!」
「きゃっ!」
いきなり騒ぎ出したカラスにあたしは身をすくめた。
本能が言っている……。
早くこの場所から立ち去らないと不吉な事が起こる……と。
何故かあたしは小さな頃からそういった類の勘があたる。
そして見えなくていいものが見えたり、聞こえたりする。
あたしのこういう体質を皆嫌う。
両親も気味わるがって、今回あたしが家からいなくなってホッとしたような顔をしていた。
別に……。
両親から愛されたい何て思ってない。
あたしはあたしなりに生きていく。
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