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「……こっちだ」
物思いに耽っていたあたしの耳に囁くような男の声が聞こえた。
次の瞬間、あたしは腕を冷たい手に握られた。
まるで吸い込まれるようにあたしは手引きされるままついていく。
恐怖からあたしは目を開ける事が出来ない。
あたしは何処に連れて行かれてるの?
この冷たい手はきっと死神の手だ。
あたしの人生……こんな感じで終わってしまうのか。
何か呆気なかったなぁ~……。
今までの事が脳裏を過ぎる。
これを走馬灯のように……と言うのね。
今までの事……。
友達から気味悪がられ、両親とも壁があって……。
あれ……?
よく考えたらあたし、本気で笑った事ないかも……。
何か寂しいな、あたしの人生。
この手のようにあたしの心も何だかひんやりしているような気がする。
死神さん、あなたはもしかしてあたしの気持ちを見透かしているの?
……怖い……
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