2.寂れた町と盗賊なんてロクな事がない

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勝てる気のしない戦いがそこにはあり、その現実と向き合う恐怖に俺は走馬灯を見た。 浮かんでくるのはキーストンや、グランフォード騎士養成学校の“あの二人”の笑顔…そして何故だか不機嫌そうなシャーリィ。 それからこうやって、大男の背後から延髄に飛び蹴りをかましたリィン。 鈍い音と衝撃…大男は綺麗に入った蹴りに意識を刈り取られ、白目をむいて倒れ伏せる。 「あれ?」 走馬灯にしてはやけにリアルな光景に俺は首を傾げる。 「助けにきてくれたんだ……でも結局、ボクに助けられたね?」 悪戯を実行した瞬間の子供の様な笑みを携えながら、リィンが此方に歩み寄る。 「あ、ああ…ありがとう。 それより、捕まってたんじゃ?」 「きつく縛られて時間はかかったけど、ボクにかかれば縄抜けくらいたやすい事だよ。 …それより、シャーリィは?」 「えっ」 突然問われた言葉に、先程のシーンを思い返してみる。 大勢の盗賊達に囲まれる中、俺は大男から逃れる為に走り出して─── 「…? どうしたの? 汗がすごいね…大丈夫?」 「いや、むしろ大丈夫かって問題は…」 「?? 何?」 俺の震える声にリィンは疑問符を浮かべ、可愛らしく小首を傾げた。
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