401人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
カタカタカタ
室内に響き渡るパソコンを打つ音。
それと同時に紙が擦れる音がした。
少年はシンプルな眼鏡をかけ、黒い瞳で画面を見ていた。
山積みになっている紙束は所せましと少年を囲む。
『………。』
黙々と仕事を進める中、少年、生徒会長の俺はため息を着いた。
他の役員が来なくなったのは一週間前。
謎の転校生を気に入ったらしい。
生徒会権限でこの一週間、やりたい放題だそうだ。
たった一週間で何をやったのか知らないが、リコール話も上がってきている。
ガチャ
「おはよう。今日も静慈は早いね、感心、感心。」
生徒会室に入ってきたのは赤髪に糸目の風紀副委員長 斎藤 恵悟(サイトウ ケイゴ)。
『…何しに来た?』
「ん?嗚呼、他の役員は来てるかなぁって。」
『残念、来てないな。』
恵悟は生徒会室を見回すと俺を見た。
興味津々といったように俺に近づく。
「噂の転校生ってどんな子なのかな?静慈は見た?」
『見てない。興味ない。眼中にない。』
恵悟と話している間もキッチリと仕事をこなす。
一分一秒が大切。
「流石、自由奔放でマイペースな会長様なだけあるね。有り難やぁ、有り難やぁ。」
手を擦り合わせて俺を讃える恵悟。
『用件は?』
最初のコメントを投稿しよう!