一 無関心な会長

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カタカタカタ 室内に響き渡るパソコンを打つ音。 それと同時に紙が擦れる音がした。 少年はシンプルな眼鏡をかけ、黒い瞳で画面を見ていた。 山積みになっている紙束は所せましと少年を囲む。 『………。』 黙々と仕事を進める中、少年、生徒会長の俺はため息を着いた。 他の役員が来なくなったのは一週間前。 謎の転校生を気に入ったらしい。 生徒会権限でこの一週間、やりたい放題だそうだ。 たった一週間で何をやったのか知らないが、リコール話も上がってきている。 ガチャ 「おはよう。今日も静慈は早いね、感心、感心。」 生徒会室に入ってきたのは赤髪に糸目の風紀副委員長 斎藤 恵悟(サイトウ ケイゴ)。 『…何しに来た?』 「ん?嗚呼、他の役員は来てるかなぁって。」 『残念、来てないな。』 恵悟は生徒会室を見回すと俺を見た。 興味津々といったように俺に近づく。 「噂の転校生ってどんな子なのかな?静慈は見た?」 『見てない。興味ない。眼中にない。』 恵悟と話している間もキッチリと仕事をこなす。 一分一秒が大切。 「流石、自由奔放でマイペースな会長様なだけあるね。有り難やぁ、有り難やぁ。」 手を擦り合わせて俺を讃える恵悟。 『用件は?』
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