第一章 彼が彼である理由は彼しか知らない。

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授業が終わって片付けをしようと思いロッカーからバックを取ろうとしたら、まさかまさかのそこには灰があった。ワロス。 焼却炉で焼いて来たんだろうが、ご丁寧に灰まで持ってくるなんて笑えない冗談だ。きっと今のオレの顔は引きつって笑っているだろう。 手で掬うとさらさら落ちて行って…手に残ったのは薄っすらついた灰。泣けると言うかこれはもう…イジメだ。 嫌われ者になるってことは、イジメられるって分かってた。けどこんな事するなんて知らなかったし思わなかったからショック。 後ろからクスクス聞こえる笑い声。どうせさっきのクラスメイトの親衛隊がやったんだろう。オレがあいつに暴力を振るったから。 幸い、財布と携帯はズボンのポケットに入っていたから問題なかった。手元に置いておかないと心配だったから…セーフ。 「ははっ…マジかよ」 出した声が無意識に震えていた。精神的に辛いイジメ。泣きたいと思うが泣く気になれない。泣いた事ないから泣き方分からないのもある。だがそれよりも泣けない理由は… …これと同じくらい酷いイジメを長期間に渡って受けていた人を知っているから。 だからオレは泣けないし、泣かないし、泣こうとも思わない。
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