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龍平も、目の前の光景をまだ飲み込めていないようで、構えたまま武司さんを見下ろしている。
……嘘でしょ?
だって、相手はあの武司さんだよ?
気に入らないやつは片っ端から殴り倒す、狂暴極まりない武司さんに……龍平が勝ったの?
「あら、なかなかやるわね。池崎君」
突然背後から掛けられた声に驚き、振り返ってみると、そこには美紗の姿。
コンビニにでも行っていたのか、肉まんを食べながら立っていた。
いつの間に……いや、いつからここにいたんだろう。
「あんた、いつからここに……それより、龍平が武司さんに勝ったんだよ!信じられる!?」
「ええ、見ていたけど……あなた達を守る為に先輩に立ち向かうなんて、泣かせる話じゃない。あんなにボロボロになって」
そうだ、龍平は武司さんを止めようとして、こんな無茶な事をしたんだ。
「ありがとうございましたっ!!」
倒れる武司さんに、そう叫んだ龍平。
美紗の言うように、本当にボロボロで……お世辞にもカッコ良いとは言えないけど、私が知らない晴れやかな顔を見て、泣きそうになった。
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