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「……あの、今までボーカルは誰が?」
ボソッと尋ねると、彼は「ん?」と耳を傾けた。
「ああ、ボーカル? 俺がギター弾きながらやってたんだ。ずっとギターにだけ集中したくてボーカルを探していたんだよ」
そう言ったあと、こちらを見てクスクス笑った。
「ユイちゃん、本当に喋ってる時の声は蚊が鳴くようだよな。歌声とは別人みたいだ」
その言葉に、気恥ずかしさに頬が熱くなる。
……自分でもそう思ってる。
歌う時のように、大きな声で喋れたらって。
わざとじゃないのに、喋る声は本当に小さい。
何よりすぐに俯いてしまう。
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