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いい加減に作った言葉は
悲鳴をあげているんだ
でも僕の耳は震えなくて
また悲劇を量産して
泣きわめいた言葉たちは
不恰好な羅列の上で
飾られたショーケースの中で
必死に形を保っている
街行く人は
華やかな歌を背にして
撒き散らした
光を放ったまま
過ぎてしまうんだ
それを手に握って
ただ夕陽を待っている
存在を眩ましてくれる
月の光が綺麗に思えた
どこまでもへばりついてくる
夜の闇をそっと剥がして
赤く染まる感情は
あの春の最後の日に
花の香りの中に
紛れて泣いていた
街行く人は
華やかな歌を背にして
撒き散らした
光を放ったまま
過ぎてしまうんだ
それを手に握って
ただ夕陽を待っている
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