僕の幼馴染

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僕の幼馴染は、野菜が苦手。だから、できるだけ食べやすいようにたくさんたくさん手間をかけてあげる。いつも僕が迷惑をかけてるから、それくらいは返さないと。 「トモ…今日はたくさん葉っぱ使ったから、ちゃんと食べてね?鉄分だよ。」 「わかった……ってか弁当箱まで緑にしなくても良くないか?」 「…気持ち…だよ?目にいいし、全部揃えてみたらどうなるかなって思って。」 「見事に真緑だな。オレンジ色のにんじんと黄色のコーンが眩しい。」 と、緑のお弁当箱の関係で一つにした中身をつつく。それは、葉っぱとにんじんの炒めたやつだ。塩こしょうのみ。 「んー………やっぱり魅央の作る飯は野菜ばっかなのに美味いんだよなぁ…なんでだ?」 こんな野菜苦手な幼馴染は、今考え中。幼馴染の友一(ともかず)は、アンニュイな顔をしていると妙に人目を集める。今も、考え事を始めた途端、周りからの視線が増えた。少し痛い。 「…トモ、早く食べないと授業遅れるよ?」 「ん?…本当だ。ありがとな。………ん。美味かった。ご馳走さま。」 トモは、僕の頭を優しく撫でて離れていく。すると、すぐに女の人達に囲まれてしまった。大学生になってからスカウトされて始めたモデルで、予想以上に有名になってしまったからだ。この前本人から、今度テレビの仕事も入ると教えてもらった。 「…まぁ、性格もいいし、当たり前だよね。」 昔、外国の血が入っていて、周りと違う見た目でいじめられていた僕を助けてくれたし、小学1年の時からべったりな僕に今の今までなんにも言わずにいてくれるんだから。 「…あ、そういえば、今日は出版社に原稿を持ってく日だ……パソコンは持ってるし、ペンもある…うん、行こ。」 僕は、トモの後ろ姿が消えるのを見てから立ち上がり、僕はあんまり食べないから、トモが結局空にしたお弁当箱を持って、その場を去った。
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