双龍と力

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「その状態でこれを受け切れるかな?」 黒炎龍は後ろに飛んで少し距離を取ると、刀に黒炎となった風を集めながら、その状態で、武耶流の風林火山─風の構えを取る。この構えまで使えるのか。なんか用途は違う気がするけど。 「んだよ。その構えは」 剣武帝はその禍々しさに恐怖しているのか、表情をひきつらせている。それでも引こうといないのは奴の戦いに対する欲からだろうか。 「アイツが使う構えだ。まぁちょうどいいからな。この技を使うには。そうさな、アイツの技の名前から考えるに、黒炎龍破(コクエンリュウハ)ってとこか」 名前から技が想像出来る。でもおそらくその威力は俺の雷龍破の比ではないだろう。それだけの魔力が今の刀には集まっていた。 「さて、どうなるかな。邪火龍魔法、黒炎龍破(コクエンリュウハ)」 黒炎龍がその刀を剣武帝に向けて突き伸ばす。当然、開いた間合いでは突きが届く事はないが、その刀の軌道に導かれるように、黒き炎が剣武帝に向かって飛んでいった。 剣武帝に向かって伸びる黒き炎。その豪炎は一直線に剣武帝に向かって飛んでいく。 「風魔法、反風壁(ハンフウヘキ)!!」 剣武帝は、その黒き炎を受け切るつもりらしく、剣を落として両手を前に広げる。その前にはしっかりと詠唱したからか、風が上昇気流のようにうねり上がっている。 黒き炎はそんなのもお構いなしに剣武帝に向かう。剣武帝の作りだした上昇気流さえ無視して、貫通すると剣武帝に突き刺さった。
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