君の知恵を借りたい

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お館様の部屋に泊まりたかったが、氏政が居たせいで「もう遅いから帰りなさい」と言われ追い出されてしまった。 畜生、泊まってるのは他の生徒には内緒を貫くお館様の態度大変素晴らしきことだが、残念なことに俺の行動がほぼ筒抜けの氏政の前ではバレてると言うのに……! 泊まりたかった、と隣を睨めばウインクが返ってきたので、様になって良かったなと目潰ししてから今日は退散だ。 部屋に戻ってやることは……あぁ、メールするか。 翌日の放課後、欠伸をしながら備品庫から拝借してきたホワイトボードをカラカラ引きながら歩く。 昨日帰ったらサムに氏政と何かあったのかと服を剥かれかけたが、お館様の所に行ってきたと身の潔白を証明(1年のデータを提示)すれば大人しくなったのは良い。疲れるからやめろ。 「ふぁ……趣味以外での徹夜はダルいな」 「昨夜はお楽しみでしたね!」 「勘違い甚だしいなぶん殴るぞ」 「そう言いながら脛を蹴り上げる君が好き!」 いつの間にか後ろに現れた氏政を蹴れば、ホワイトボードを押すのを何も言わずに手伝ってきた。 風紀室に入り、壁の方にホワイトボードを置いてから、備品のパソコンを立ち上げながら氏政に声を掛ける。 「今日、千は部活。双子は見回りに行かせたからな」 「つまり僕と樹くんの二人きり、と言うことだね! テンション上がります!」 「はいはい黙れ」 「投げ遣りなのも素敵ですね!」 適当にあしらいながら首からぶら下げてたUSBを差し込めば、慣れた手付きでコーヒーを淹れてきた氏政が覗き込んできた。近い。 「それは?」 「昨日の晩、べっさんに頼んで貰った、去年の体育祭のチームデータ。参考にしようと思ってな……んで、ついでにお館様から貰ったのもタイム別に適当に3パターンに分けたから今から印刷する。そこからアレにチーム分けを二人でしてくぞ」 ホワイトボードを顎で指せば、氏政は目を丸くしてから、俺の目元を指でなぞってきたので叩き落とす。 「馴れ馴れしい」 「樹くんの目、隈が出来てるから……神戸さんからデータ貰うことは思ってたけど、僕の想像以上でやっぱり樹くんは凄いと思って」 「べっさんに比べたらまだまだだろ……慣れないことして疲れた、頭痛い」 「僕は君の凄さに舌を巻くよ。相変わらず、敵わないな」 一応僕も1年生をチーム分けしてきたよ、と寂しそうに笑う氏政に、じゃあ合わせて見るかと頷けば嬉しそうに笑われた。
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