君の知恵を借りたい

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眠気覚ましにコーヒーを飲みながら、印刷した紙を元に俺のと氏政のとを見比べ、ホワイトボードに書き出してく。 「去年の3年生抜いたチームのままだと今の2、3年は不満がありそうだな」 「僕とかね!」 「お前のそう言う個人的な意見聞いてないから」 「聞いて欲しいな、僕は君と同じチームなら実力を十二分に発揮できると思います!」 「体育祭でドーピング認められない」 「僕のドーピングが樹くんだと何時から知っていたんだろう……恋と言う名の」 「真面目に考える気ないなら、オマエソトダス!」 「怒った樹くんも好き! でもそうだね、少し変えた方が良いかも」 例えば、と前回のチーム分けの印刷した紙をボードに貼り、「前回のは神戸先輩は性格も判断して似た様な性格で分けてるよ」と言われるが、如何せん全校生徒を網羅出来てない俺は首を傾げる。 「そうなのか? 確かお前の居たチームがドMの巣窟だったのは覚えてる」 「僕との一夏の思い出だね」 「ポジティブウザいな」 「あと和田くんが居たところは一癖二癖ある人が多いし、逆に樹くんが居たところは神戸先輩の言うこと聞いてくれる様な素直な人が多い印象かな? だから去年、似た者同士が多かったからチーム的には纏まってたのかも。神戸先輩ならではの分け方だね」 「……待て、お前もしかして……全校生徒把握出来てる……?」 性格云々話す氏政に、恐る恐るそう聞けば、爽やかな笑みが返ってきた。 「君に風紀入りを許可して貰えてから、必要になると思って覚えておいたんだ。1年生はまだだけど、2、3年生なら全員分かるよ」 「え、す、すごいな!? おま、すごいな!?」 覚えられるとかすごいな……俺、全く覚える気が無かった……感心して素直にそう言えば氏政は目を丸くして、それから頬をじわじわ赤くすると、恥ずかしそうに頭を掻く。 「え……う、うん。樹くんの補佐出来たら、って思って」 「そんなことの為に。そんな暇あるなら勉強して俺抜いて首位になれただろ」 「それは無理だよ。オール満点取らなきゃ君に勝てなさそうだし……僕は、そうしたかったんだ。だって、本当は竹中くんがなるはずだった副委員長にしてくれた君の、樹くんの役に立てることは、君の補佐くらいだから」 「お前」 「ねぇ、樹くん。どうして僕を副委員長にしてくれたの?」 「……言わないと、駄目か?」 是非、と頷く氏政に、あーそれな、とはぐらかそうとしたいが無理そうだ。
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