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「ここが食堂。先生方もここで食べるよ、ちなみに僕もね。」
少し重たい扉を開け、中に入れば高級レストランにしか見えなかった。
豪華なシャンデリア、壁には絵画、所々にある柱は綺麗な細工模様、レースで縁取られた真っ白なテーブルクロス、お揃いの椅子はクッション部分が革張りで座り心地が良さそうだ。
「勇さん、なんで何処もかしこも豪華なんですか?」
つい、うんざりしたような口調になってしまった。
産まれも育ちも一般家庭、マスター宅は少し違ったが…そんな俺には、ここは少し居心地が悪い。
「財団や財閥、大企業、弁護士…その大事なご子息を預かる所だからね、あと目や舌を肥やす事も大事なんだよ。」
そう言い、軽く螺旋になっている階段に向かう勇さん。
「藍住君、おいで。」
手招きされ、ついていけば二階は一階と比べとても質素だった。
「…何代か前の生徒会長がね、二階の模様替えをして以来こうなったんだ。」
「じゃあ、元々は一階のような感じだったんですか?」
それがどんなに前代未聞な事か、俺は知らなかった。
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