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「他に誰がいるんです?」
気になっていた事。
ここで関係を持たない為にも、情報は重要だ。
「幹部全員、かなぁ。」
「……うわぁ。」
しかし、考えてみれば副会長と勇さんは顔見知りで、『bar.モザイク』でもよく鉢合わせしていた。
つまり、゙color゙は黙認されている。
「最悪だ。」
天井を仰ぎ見る。
不意に今までなかった人影が、近寄ってくるのが見えた。
「…お待たせしました。」
微かな音と共に、俺と勇さんの前に置かれた皿。
漂う香りは空腹を思い出させ、目の前の彩りは唾液を呼び覚ます。
「凄い美味しそう…」
給仕さんに有難うと伝えると、素敵な笑顔で去っていった。
「いただきます。」
最悪だった気分は、最高の半熟卵に包まれた。
「……ヤバイ、マスターが作るオムライス並に旨い。」
「楓君並か、そいつは美味しいだろうね。」
自分の和食セットに箸を伸ばす勇さんに、一口分のオムライスを差し出す。
「勇さん、一口どうぞ」
途端、響く物音にその体勢のまま振り向いた。
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