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それから暫くして、王城内が少し慌ただしくなってきた。
甲冑を着込んだ騎士の人達が武装した状態で、ぞろぞろと召喚の間がある地下へと向かっていったり、メイドさん達があっちへこっちへと豪華な衣装やら装飾品を持って、走り回っているのだ。
どうやら、もうすぐ勇者召喚が始まるようだ。
このまま何事も無く、勇者召喚が終わってくれたら良いのが、そこまで上手く行くなんて思っていない。
『あー、帝の諸君。大変残念な事だが、仕事の時間だ』
何とも神掛かったタイミングで、気ダル気な父さんが念話を送ってきた。
『王都近郊で待機していた狗からの緊急入電だ。
帝国方面から巨大な天使のような物が10体、高速で王都へと接近しているらしい。
このままならば、10分程で王都に到着するとの事だ。
俺はこれを帝国からの攻撃と断定し、迎撃行動を取る事にする。
接近中の天使擬きは俺と鴉、それから覇帝で何とかしよう』
そこまで言って、父さんの念話が少し切れる。
もしかしなくても覇帝が父さんに文句を言っているんだろう。
『……うるさいぞ、覇帝。後にしろ』
父さんはあしらう様にそう言い、そのまま残りの俺達へと指示を出す。
『残りの諸君らは、この天使擬き共が、囮だった時のために街の防衛と召喚の間の護衛に回ってもらう。
雷帝、風帝、光帝、炎帝、零帝は街の防衛を。
全帝、闇帝、地帝、水帝は召喚の間の護衛を。
健闘を祈る』
『了解』
俺は一通りの指示を聞いた後で、一言念話を送り、街の防衛に回るために走り出した。
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