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僕の話を聞いたライナさんは先ほどの笑顔から一変少し渋い顔になってこうつぶやいた。
「うーん・・・長男ねぇ」
何か思うところでもあるのだろうか?
結局ライナさんは少しの間考える素振りを見せた後
「分かったわ。長男に合わせてあげる」
と仕方ないといった感じで僕にそう言った。
「本当ですか!!」
だが、そんな表情の変化を気にすることもなく僕はただ喜んだ。
いや、そんなことに気を掛けるほどの余裕もなかったんだ。
無理もない。
半ばあきらめかけていた長男との邂逅がついに果たせるのだ。
それ以外の考えなど全部頭から抜け落ちてしまっていた。
「本当だけど・・・やけに喜ぶわねあなた」
ライナさんはこのダンジョンに来て初めて見せる僕の様子に少したじろいでいた。
まぁ、僕自身もまさかこんなに喜ぶなんて思っていなかった。
でも、ダンジョンをさまよい続けていた疲れと、こんなことに巻き込んでしまった長男への負い目なんかが重り、そこへようやく道が開けたこともあり、自分でもよくわからないテンションになっているんだろう。
兎に角、長男に会えるのだ。
あいつの現状も何とか知りたいし、もしかしたらこの奴隷生活を終わらせられる手がかりが見つかるかもしれない。
・・・たぶん無理だろうけど。
奴隷生活に関しては半ばあきらめている僕であった。
ニスに巻き込まれて死ぬのは御免だしね。
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