一章

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立ち込める腐った果実の様な匂い。それはここが人の目に触れない影にあることを示していた。 「本当に…ここで合ってるのか…?」 まだ昼だと言うのに薄暗い路地の突き当たり。そこにそれはもう不自然に取り付けられた様な扉を前に呟く。 こんな所に人が住んでいるなんて思えない…思えないが… 「まぁ…いるんだろうなぁ…」 経験則的に。 呆れて溜息をつきながら扉の取手に手をかける。 「え?ほ、本当に行くんですか?絶対騙されてますって、私たち」 後ろから情けない声が呼び止める。 「いや、俺もそう思うけどさ…。前回がほら、あれだったろ?地下とか」 「あぁ…」 「あそこよりはまともだろ」 「そうですけど…」 ええい埒が空かん。
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