一章

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「じゃあそこで待ってろ。俺一人で行く」 「わかりましたよぉ…」 渋々といった様子で返事をしてこちらへ歩いて来る。 「ところで…これ、開けたい?」 「嫌ですよ!絶対!」 即答された。俺だってこんな不気味な扉開けたくないよ。 「じゃあ…開けるぞ…」 チラッと後ろを見るといつの間にか距離を取っている。 ご丁寧に手を振りながら「頑張ってくださーい!」と応援まで添えて。奴め。 なんだかもう早く帰りたくなったので、腹をくくって勢いよく扉を開ける。 ―――その瞬間。 耳にシュンという甲高い音が届くのに少し遅れて、頬に突き抜けるような風を感じた。
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