舞い降りた天使…

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「…どうしよう…ママに、怒られちゃう…もう、一人で、外に出してもらえなくなる…。」 彼女の手の平には、壊れてしまった小さな白い物が、乗っていた。 「…それ、高いの?」 聞こえないのかな? 肩を揺すって、呼んでみる。振り向いた彼女の瞳は、涙で、潤んでいた。 えっと、わかるかな…。 「…これ、高いの?」 指を指したりして、ゆっくり、話しかけてみる。 何回か、繰り返したら、わかったみたい。 「…たぶん…高い。」 唐突に、思い出す。電車の中で、携帯で、会話していた人達のことを…。 慌てて、携帯を出して、文字を打ち込み、彼女に見せる。 【俺の言葉、聞き取れる?】 「…ちょっとなら。」 【ここ、危ないし、邪魔になる。場所、変えよう。】 小さく彼女は、頷いて、立ち上がった。 うわっ、ちまっこいなぁ。 俺の横に立つと、頭一つ…いや、二つ近く低いかな。 俺は、彼女を、まず、落ち着かそうと、すぐ近くのカフェに、連れていった。 【…何、飲む?…ご馳走するよ。】 「…えっ…でも…。」 【知らない人だから?】 「…うん。」 【じゃあ、今から、知り合いになろうか? 俺は、おおのまこと、です。漢字で、書くと、大野誠ね。 …君は?】 「…高岡真琴。」 【真琴ちゃんか!可愛い名前だねって…俺と、同じじゃないか! すごいな…運命感じるよ!】 「…そんなこと…言われたの…初めてです。」 ああ、なんか、可愛いよ、彼女…。 そうそう、注文しなくちゃな…。 【…俺は、珈琲を頼むけど、君は?】 「…あの…ホットレモンを、…あれば、お願いします。」 【了解!】 ウエイターを呼んで、俺は、ブレンド珈琲とホットレモンを、頼んだ。
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