大きな桜の木の下で

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少年が桜の木の下に立った時、風が桜の雨を降らせた。 少年は立ち止まり空を仰ぐ。 青天井とは言えない淡い空色である。 今も彼に降り注いでいる桜に一番似合う色である。 少年はここが気に入って桜の根に腰掛け、その幹に背を預けた。 桜はまだ降り注いでいる。 「そんなにたくさん降らせるとすぐになくなっちゃうよ」 少年は桜に話しかけた。 桜はいっそう降り始める。
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