目覚めて灼熱の国

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川辺にいた。 俺は神様に会って転生をさせてもらい、転生先の世界でこの川辺にスポーン(リスポーンのほうが正しいのだろうか)した。 小川のそばで、なんとなく茫漠としていた。 ふと川を見る。 きれいな川だ。丸い小石が敷き詰められた底のほうでめだかよりちょっぴり大きい魚がゆっくり泳いでいる。 もともと魚には詳しく無いので前の世界にいた魚と違うのか、それとも同種なのかはわからないが、どこの世界も似たような魚ばかりなんじゃなかろうか。 わざわざこんな環境で特徴的になる必要も生物の進化には必要あるまい。虫や植物ならともかく……まあ一部例外はあるだろうが。 ああ、いかん、いつまでも川を見ながら思索にふけってても時間の無駄だ。いや急ぎの用事があるわけでも無いが。 今度は周りを見渡す。ところどころに花が咲き、雑草が生え、人が通るために整備された(そこだけ草が薄い程度だが)道がある。 道の脇には休憩にはちょうど良さそうな木が何本か連なっている。 もっとも、自然の少ない世界で育っていた俺はこの世界のどこを見てもほっとしてしまうのだが。 暮らしていく内に目が………いや、感性か?そういうものが肥えていくのだろうか。今の内に新鮮な気分でこの世界を満喫しよう。
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