目覚めて灼熱の国

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空は真っ青に晴れ渡り、雲ひとつ無い。比喩ではなくだ。 太陽の位置は………ちょうど俺の斜め後ろだ。 時間を推測しようと思ったが方角がわからないし、だいいちこの星の天体系が地球と同じかどうかもわからないのだ。 西から登ったお日様が東へ沈むかもしれないし、ひょっとしてこの星が天体系の中心かもしれない。 とりあえず余計なことは考えずに進もう。いや、進む前にどっち方向に進むかを決めなければ。 ちょうど道の真ん中に立っているので、分かれ道というわけでもない。一本道だ。 そうだな、前の世界では右利きだったし、新しい自分をということで左に進もう。今の俺も右利きだが。 進行方向には何も見えない。サバンナのごとく地平線が横に伸びるばかりだ。 しかし、歩けばその内に村なり街なりに着くだろう。 …………さっきから「~ろう」だの「~しれない」だの不確定な言葉ばかり使っているな。 まあ、知らない世界なのだからそうもなるか。
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